労働・社会保険ニュース…適正な雇用保険被保険者期間で適正な給付を。

 事業主が雇用保険の被保険者資格取得の届出をしなかったことにより雇用保険に未加入のままで
あった従業員の方については、一定の要件を満たすことにより2年を超えて過去にさかのぼり
被保険者期間として認められます。

 平成22年10月1日より適用されている雇用保険法の改正点です。
 事業主が従業員の雇用保険の加入の手続を行っていなかった場合、すぐに加入の届出を行い被保険者として
認められたとしても、確認がとれた時点から遡って2年以内の期間に限ってしか加入の手続をすることが出来ないのが
現状でした。
 平成22年10月の改正により、雇用保険料が給与から天引きされていたことの確認ができる場合には
2年を超えて遡って雇用保険の加入手続ができるようになっています。

 会社を離職し失業手当をもらおうとする場合やどれくらいの日数分がもらえるかは、
「離職日以前に被保険者であった期間がどれくらいあったか」
ということに基づいて決められます。
 過去に遡って雇用保険の加入手続をして被保険者になることが認められれば、失業手当をもらうための要件を
満たすことが出来たり、失業手当をもらう日数を増やすことが出来たりするわけです。

 本来は事業主の方が従業員の雇用保険加入の手続を行うものであり、事業主の失念を前提とする今改正点は
もっと前から整備されていてもいいのではないかと私自身では思っているところですが…

■対象となる方
平成22年10月1日以降に離職した方
※平成22年10月1日よりも前に離職された方は対象になりません。
※在職中の方でも遡って加入手続ができます。

■留意点
※遡って被保険者であったと認められても、年数によっては失業手当の給付日数が増えない場合もあります。
※支給終了日の翌日から2年を経過したものについては失業手当そのものが時効により消滅しますので、
 受給できない可能性もあります。
※受給日数が増えても受給できる期間は原則として1年間ですので、失業手当受給のための申請が遅れて
しまうと全受給日数分がもらえない可能性があります。


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■社会保険資格の同日得喪(定年になった日等に退職、資格を喪失し、その日に嘱託職員等として
 再雇用され資格を新規取得する方法)が、平成25年4月1日より「60歳以上の者で、退職後継続して
 再雇用される者」に対象が拡大されています。

 同日付で社会保険の喪失、新規加入の手続を行うことにより新たな標準報酬月額が即座に反映されることになり
被保険者の方にとって非常に有利になります。…平成26年3月8日更新
…社会保険料額や在職老齢年金による年金停止額にも影響が大きい改正です。

■継続雇用制度の対象となる高年齢者につき事業主が定める基準を撤廃
 高齢者の方の就労促進のために、希望者全員を対象とする制度の導入が求められています。

 平成25年4月1日に高年齢雇用安定法が改正され、継続雇用制度の対象となる高年齢者について労使協定に
基づいた基準による労働者選別の仕組みが廃止されています。
…義務違反の企業に対する名称公表も行われています。 

■有期契約労働者の方の育児休業取得要件とは?

 育児休業の申し出までの直前1年間引き続いて同じ事業主に雇用されていることなど一定の要件を満たせば、
有期契約労働者の方も育児休業を取得できます。
 パートタイマー、契約社員、派遣社員等その他名称を問わず、これらの要件を満たせば可能です。
…その他詳細な取得要件、休業期間等についてはこちらをご覧ください。 

■同居の親族・家族従業者の雇用保険、労災保険への加入について

 事業主と同居している親族等の方については、原則として雇用保険の被保険者にはなりませんし、労災保険の
対象にもなりません。
 ただし労働関係が成立しており、雇用の実態が確認できる場合には、これら労働保険の適用対象者となり得ます。
…具体的な判断基準をご覧ください。 

■年金支給の開始年齢引き上げが検討されます。

 平成24年度の公的年金の支給総額(年金総額)が、53兆円を突破しました。
将来の年金支給額の減額や支給年齢のさらなる引き上げも現実味を帯びてきました。
…年金問題と雇用問題を併せた議論が必要となっています。

■平成22年12月より、事業主の方々が労働保険の加入手続を行っているかどうかを、労働者や
 求職者の方が厚生労働省のホームページで確認することが出来るようになりました。

 大部分の会社では雇用保険や労災保険など労働保険の強制適用となっています。お勤めの会社や
求職中の会社が労働保険に加入しているかどうかを調べることができるようになりました。
…厚生労働省ホームページ等もこちらでご確認ください。

■事業主が雇用保険の被保険者資格取得の届出をしなかったことにより雇用保険に未加入のままで
 あった従業員の方については、一定の要件を満たすことにより2年を超えて過去にさかのぼり
 被保険者期間として認められます。

 会社に在籍していた確認が取れれば、2年以上さかのぼった雇用保険への加入が可能です。
…対象労働者、留意点などはこちらをご覧ください。


新着情報&更新情報

平成26年3月23日更新しました…年金法改正点
国民年金の任意加入中の保険料未納期間が合算対象期間に算入されることになります。
平成26年3月14日更新しました…給与計算サポート
今まで適用されていた育児休業期間中にくわえ、産前産後休業期間中も社会保険料が免除されます。
平成26年3月8日更新しました…労働・社会保険ニュース
新しい給料を即時に標準報酬月額に反映させる同日得喪が、60歳以上の継続再雇用者に拡大適用されています。
平成25年4月1日…労働・社会保険ニュース
会社判断が廃止され希望者全員を継続雇用制度の対象とすることが求められています。
平成25年2月28日…健康保険法・国民健康保険等改正点
外来療養、指定訪問看護での医療費についても支払い額が一定の限度額までとなるしくみが始まっています。
平成23年10月25日…人事労務管理のポイント
離職票記載内容が事実と異なる場合には補正願の提出が必要です。
平成23年10月24日…労働者災害補償保険法改正点
石綿による遺族特別給付金の請求期限が延長されました。
平成23年7月2日…労働・社会保険ニュース
一定の要件を満たせば、パートタイマーや派遣社員など有期契約労働者の方も育児休業を取得できます。
…社会保険手続
標準報酬月額の定時決定等において、保険者算定が適用される場面が追加されています。
…労働・社会保険ニュース
事業主と同居の親族・家族従業者の方の雇用保険、労災保険への加入について、その基準をまとめました。
…人事労務管理のポイント
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…労働・社会保険ニュース
年金支給の開始年齢引き上げが検討されます。
…人事労務管理のポイント
非常勤や契約社員、嘱託社員など短時間労働者の方の社会保険適用の基準をご説明いたします。
…人事労務管理のポイント
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勤務先の労働保険加入状況をインターネットで確認できるようになりました。
…人事労務管理のポイント
国民年金保険料は、退職(失業)による特例免除制度があります。
…労働・社会保険ニュース
事業主が雇用保険の被保険者資格取得の届出をしなかったことにより雇用保険に未加入のままであった従業員の方については、一定の要件を満たすことにより2年を超えて過去にさかのぼり被保険者期間として認められます。

■法律改正や保険料率等の改定、その他人事・労務に関する情報を更新していきます。


各法律改正点

社会保険労務士 山田泰則

社会保険労務士 山田泰則 企業と働く方の幸せのために頑張ります。さいたま市、戸田市、川口市、蕨市を中心に活動しております。
経営者の方のみならず、従業員の方や退職された方にとっての身近な相談者であり続けたいと考えています。
どうぞお気軽にお声を掛けてください。


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