社会保険手続…傷病手当金 資格喪失後の給付

 会社を辞め健康保険の被保険者でなくなっても、一定の要件を満たしていれば、それまで受給していた傷病手当金
継続して受けることが出来ます。これを「資格喪失後の継続給付」といいます。

 被保険者の資格を喪失すると健康保険の各種給付は受けられないのが原則ですが、退職日当日まで引き続き1年以上
健康保険の被保険者(同じ事業所、同じ保険者である必要はありません。)であった方が、傷病手当金の受給中に
退職し被保険者資格を喪失した場合、引き続き傷病手当金が支給されます。
※任意継続被保険者期間、共済組合の組合員期間、国民健康保険の被保険者期間および日雇特例被保険者期間は、
上記「1年以上」の期間には含めません。

【条件】 ■退職日当日まで継続して1年以上、健康保険の被保険者であったこと
 ※任意継続被保険者期間、共済組合の組合員期間、国民健康保険の被保険者期間および
  日雇特例被保険者期間は、上記「1年以上」の期間には含めません。

■在職中に連続3日間の待期期間が完成していること
 傷病手当金が支給されるには、連続する3日間の待期期間を経なければなりません。
 従って、退職日においてまだ待期期間が完成されていない場合には、在職中も
 退職後も傷病手当金は支給されません。

■在職中に傷病手当金を受給していること、又は受給出来る状態にあること。
 「受給できる状態にあること」とは、休職期間中も給料が支払われているため、
 傷病手当金が支給されていない状態のことをいいます。

■元々の傷病手当金の支給開始から1年6ヶ月以内であること

■同じ傷病について、労務不能状態が継続していること
 退職後に症状が回復し働ける状態になったため傷病手当金がいったん不支給と
 なった場合には、その後さらに労務不能となり支給期間が残っていたとしても
 再支給されません。

【支給期間】
 傷病手当金の継続給付が受けられるのは、元々の傷病手当金の支給期間である1年6ヶ月の範囲内で、
在職中に支給された期間を差し引いた残りの期間についてです。

【注意点】
■在職中に受給する傷病手当金の場合、一旦働ける状態になり傷病手当金が不支給と
 なっても、その後再び労務不能となれば支給期間範囲内で再受給できますが、資格喪失後の
 継続給付においては、
上記【条件】にあるように、「労務不能状態の継続」が前提となっており
 再び労務不能となっても再給付はありません。

■退職後に傷病手当金の継続給付を受ける場合において、国民年金や厚生年金などの
 老齢に関する年金(障害や遺族に関する年金は関係ありません。)を受けることが出来る時は、
 傷病手当金の全部または一部が不支給となる場合があります。
 これは「所得保障」という意味合いの給付が重複して行われるために調整されるものです。

■資格喪失後の傷病手当金を受給している間は、雇用保険の失業給付(失業手当)をもらうことは出来ません。
 これも「所得保障」の給付が重複しているという理由もありますが、そもそも失業給付を受けるためには
 「いつでも就職できる能力がある」という要件が大前提となっているからです。
 病気やケガで仕事に就けず傷病手当金をもらっているということは、いつでも就職できる能力は
 ないでしょう、ということになる訳です。

■退職後に旦那さまや奥さまの健康保険の被扶養者になる場合には、年間収入が原則として130万円未満であると
 いう条件があります。
 退職し資格喪失後の傷病手当金の継続給付を受ける場合もそれらは収入とみなされますので、1日あたりの
 傷病手当金の額が3,612円以上の場合は、年間収入が130万円を超えることになり(3,612円×360日)、
 被扶養者になることができませんのでご注意ください。
 この場合には、退職した会社の健康保険に任意継続加入をするか(一定の条件あり)、または市区町村の
 国民健康保険に加入することになります。

  失業給付の受給期間は原則として退職後1年間ですので、病気療養期間が長引き傷病手当金を
 受給する期間が1年を超えるようになれば、失業給付を全くもらえないという状況もあり得ます。
  そのような場合に備え、雇用保険には「受給期間の延長」という制度があります。
  この制度は、病気やケガで退職してすぐに働けない場合、所定の手続をすることにより原則1年間の
 失業給付の受給期間を最長4年まで延長できるという制度です。
  この制度を活用すれば、傷病手当金を最大1年6ヶ月分受給した後でも、失業給付を受給するこ
 とが可能となります。


 このように、病気やケガで働くことが不可能となり退職せざるを得ない場合には、「傷病手当金の継続給付」により
健康保険から所得保障を受けられる制度があります。
 傷病手当金は金額も大きく支給期間も長いので、万が一の時に備え是非活用したい制度です。



標準報酬月額の定時決定等において、保険者算定が適用される場面が追加されています。

 通常方法による算定方法では著しく不当となる標準報酬月額について保険者が算定しその額を決定します。
…追加された保険者算定対象項目へ

健康保険法上の被扶養者とは?

 新しく入社した従業員に被扶養者がいる場合、または結婚や出産など被扶養者に異動があった場合には、
「健康保険被扶養者(異動)届」を提出します。
…対象者の範囲、認定基準など

パートさん等の標準報酬月額 定時決定における特例

 標準報酬月額を算出する際の定時決定では、原則的に4月・5月・6月のうち報酬支払基礎日数が17日以上の
月を対象に行われますが、短時間就労者の方については特例的に15日以上の月を対象にすることになっています。
…算定基礎届の作成における特例

出産費用の負担軽減のための「直接支払制度」

 妊婦さんやそのご家族が出産費用を支払うためにあらかじめまとまった現金を用意しなくてもいいように、
被保険者やその被扶養者の方に対してではなく、医療機関に対して出産育児一時金を支払う「直接支払制度」が、
平成21年10月より始まっています。
…未対応の医療機関もありますのでご確認ください。

傷病手当金 資格喪失後の給付

 会社を辞め健康保険の被保険者でなくなっても一定の要件を満たしていれば、それまで受給していた
傷病手当金を継続して受けることが出来ます。これを「資格喪失後の継続給付」といいます。
…生活を保障する安心の制度です。


 この他にも社会保険の手続や制度には様々なものがあり、提出する書類も非常に多く、健康保険からの給付の種類も
多岐に及びます。場合によっては障害年金や遺族年金など年金からの給付もあるでしょう。
 人事・総務担当者の方にとっては給与計算と並んで気を使うお仕事ではないでしょうか。

 毎年7月10日までに提出する算定基礎届(健康保険料、厚生年金保険料を算出する元となるもので、4月〜6月に
支給された報酬により標準報酬月額を算定する定時決定)の作成も顧問契約内の一業務として行わせていただきますので、
社会保険手続はぜひ当事務所にお任せください。

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新着情報&更新情報

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平成26年3月14日更新しました…給与計算サポート
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平成26年3月8日更新しました…労働・社会保険ニュース
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平成25年4月1日…労働・社会保険ニュース
会社判断が廃止され希望者全員を継続雇用制度の対象とすることが求められています。
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平成23年10月25日…人事労務管理のポイント
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■法律改正や保険料率等の改定、その他人事・労務に関する情報を更新していきます。


各法律改正点

社会保険労務士 山田泰則

社会保険労務士 山田泰則 企業と働く方の幸せのために頑張ります。さいたま市、戸田市、川口市、蕨市を中心に活動しております。
経営者の方のみならず、従業員の方や退職された方にとっての身近な相談者であり続けたいと考えています。
どうぞお気軽にお声を掛けてください。


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