年金法改正点…生活を補償する老齢・障害・遺族年金の改正点です。

 「ねんきん定期便」の送付、紙台帳記録とコンピューター記録との突合せ作業が開始されて約6年。
まだまだ本人確認の行われていない年金記録が残されていますが、本格的な記録確認作業は一服され平成26年は
国民年金保険料2年前納や今後5年間における集中的な加入勧奨や加入指導、納付猶予の対象年齢見直しや
法定免除期間中の保険料納付制度など、納付率向上・年金受給権確保に政策が向けられます。

◆任意加入中の未納期間も合算対象期間に算入へ

 …平成26年3月23日更新

さいたま市、戸田市|山田社会保険労務士事務所 お客様の良き相談相手となれるよう頑張る戸田市の社会保険労務士です。 65歳から受け取ることができる老齢基礎年金と老齢厚生年金は、原則として
保険料納付済期間と保険料免除期間が合わせて25年以上なければ受け取ることができません。
ただし、上記期間が25年に満たない場合は「合算対象期間」も加えて25年以上となれば
受給できることになっています。
 つまり、25年の受給資格期間を満たす必要があるのです。

 この「合算対象期間」というのは、年金額を計算するうえでは算入されない期間
ですが、年金を受け取るための受給資格期間には加えることができる期間のことで「カラ期間」とも呼ばれています。

 現状、国民年金の任意加入中に保険料を納付しなかった期間は未納期間として扱われ、合算対象期間にすら
算入することができませんが、平成26年4月1日の法改正以降は、こうした任意加入期間中に保険料を納めることが
できなかった期間についても合算対象期間に含めることができるようになり、受給資格期間25年を満たせる可能性が
大きくなりました。

 そもそも、国民年金に任意加入できる人(任意加入被保険者となることができる人)は、
(1) 基礎年金制度ができる昭和61年4月1日前の期間のうち会社員や公務員などの被用者年金被保険者の
  配偶者であった方
(2) 昭和61年4月1日以降における海外居住者の方
(3) 昭和61年4月1日から平成3年3月31日までの間において日本国内に住所を有していた20歳以上60歳未満の学生の方

などが該当し、こうした方が任意加入の申し出を行わずに被保険者とならなかった期間は、国民年金第1号被保険者
ではなかった期間とみなされ、年金額には反映されないが受給資格期間には算入される期間として
合算対象期間とされる扱いになっています。

 ところが一方で、将来の年金額を増やすためあえて国民年金の任意加入被保険者となったものの保険料を
納付しなかった期間(任意加入未納期間)は、国民年金の第1号被保険者として扱われるため、保険料を
納めなかった期間は単なる未納期間となり、納付済期間どころか合算対象期間にもならないのです。

 しかし、任意加入せずに保険料を納付しないことと任意加入して納付することができず未納期間となって
しまうことでは、両者とも保険料を納付していない点では同じであるにもかかわらず、将来の年金額を
受給するための受給資格期間として違いがあることには従前より公平性が疑問視されていました。

 今回の改正により、現在、受給資格期間25年の要件を満たせず年金をもらうことができない方が、
相当数救済されるものとみられています。



            ……………………………………………………………………………………

◆障害年金加算改善法

さいたま市、戸田市|山田社会保険労務士事務所 お客様の良き相談相手となれるよう頑張る戸田市の社会保険労務士です。  国民年金法、厚生年金法および共済組合法の改正により、障害年金を受給する際の
生計維持要件が平成23年4月1日から緩和されています。まずは改正前のご説明から。

■原則として障害基礎年金の額は「受給権者(障害等級1級または2級に該当する方)がその
障害の認定を受け障害基礎年金の受給権を取得した当時(基本的には障害認定日)、その者に
よって生計を維持していたその者の子がある時には、子の加算額(平成25年10月からは年額で、2人目まで224,000円、3人目以降74,600円)を加算した額とする」とあるように、一定の要件を
満たす子がいる場合には、子の加算額が追加で支給されています。

 ただし平成23年4月1日前は、その障害認定日においてその子が生計を維持されている必要があり
受給が開始されたに子ができても加算額は付かないことになっていました。

■同じように、障害厚生年金および障害共済年金においても、「障害等級1級または2級に該当する者に支給する
障害厚生年金(障害共済年金)の額は、受給権者がその権利を取得した当時(基本的には障害認定日)、その者に
よって生計を維持していた65歳未満の配偶者がいる場合は、加給年金額(平成25年10月から年額224,000円)を加算した
額とする」とあるように、一定の要件を満たす配偶者がいる場合には、加給年金額が加算されることになっていますが、
これも上記と同様に平成23年4月1日前はその障害認定日に配偶者が生計を維持されている必要があり、受給が
開始されたに新たに配偶者ができても、加給年金額はつかないことになっていました。

■今回の改正により、障害年金の受給権を取得した当時だけではなく受給権を取得して障害年金をもらい始めた
後に子や配偶者を有することになった場合でも、障害基礎年金には子の加算額が、また障害厚生(共済)年金には
配偶者に係る加給年金額が加算されることになりました


 また、この法律が実施される前(平成23年4月1日前)にすでに障害年金を受給していて、受給後に結婚して
配偶者を有することになったり子ができた場合でも、申請すれば配偶者にかかる加給年金や子の加算額が
加算されることになりました。

更に今改正での重要点として…
障害厚生年金受給後に配偶者を有することになり、その配偶者が改正の施行日である平成23年4月1日時点で
すでに65歳を超えている場合、配偶者にかかる加給年金額はありませんがその代わりに配偶者が受け取る自身の
老齢基礎年金に振替加算がつくことになりました。
法の施行日が65歳到達日の前か後かで支給に不都合が生じないようにするための処置です。

 なお、実際に子の加算額または配偶者に係る加給年金額が加算されるのは、対象となる子または配偶者を
有することとなった月の翌月分からとなります。

【子の加算額の注意点】
○対象となる子は、
(1) 満18歳の誕生日後、最初の3月31日が終わっていないこと
(2) その子が障害等級2級以上にある場合には、20歳未満であること
の要件を満たす必要があります。

○実子または養子でなければなりません。内妻の子で夫の子ではない場合、妻の連れ子で養子縁組をしていない場合などは、
本旨でいう「子」には該当しません。


新着情報&更新情報

平成26年3月23日更新しました…年金法改正点
国民年金の任意加入中の保険料未納期間が合算対象期間に算入されることになります。
平成26年3月14日更新しました…給与計算サポート
今まで適用されていた育児休業期間中にくわえ、産前産後休業期間中も社会保険料が免除されます。
平成26年3月8日更新しました…労働・社会保険ニュース
新しい給料を即時に標準報酬月額に反映させる同日得喪が、60歳以上の継続再雇用者に拡大適用されています。
平成25年4月1日…労働・社会保険ニュース
会社判断が廃止され希望者全員を継続雇用制度の対象とすることが求められています。
平成25年2月28日…健康保険法・国民健康保険等改正点
外来療養、指定訪問看護での医療費についても支払い額が一定の限度額までとなるしくみが始まっています。
平成23年10月25日…人事労務管理のポイント
離職票記載内容が事実と異なる場合には補正願の提出が必要です。
平成23年10月24日…労働者災害補償保険法改正点
石綿による遺族特別給付金の請求期限が延長されました。
平成23年7月2日…労働・社会保険ニュース
一定の要件を満たせば、パートタイマーや派遣社員など有期契約労働者の方も育児休業を取得できます。
…社会保険手続
標準報酬月額の定時決定等において、保険者算定が適用される場面が追加されています。
…労働・社会保険ニュース
事業主と同居の親族・家族従業者の方の雇用保険、労災保険への加入について、その基準をまとめました。
…人事労務管理のポイント
東日本大震災にかかる休業手当・労災保険などへの対応を、厚生労働省発表のQ&Aからまとめました。
…年金法改正点
東日本大震災に対処するため特別に施行された、年金に関連する主な法律をまとめました。
…年金法改正点
障害年金における子の加算額および配偶者に係る加給年金額の受給要件が緩和されました。
…労働・社会保険ニュース
年金支給の開始年齢引き上げが検討されます。
…人事労務管理のポイント
非常勤や契約社員、嘱託社員など短時間労働者の方の社会保険適用の基準をご説明いたします。
…人事労務管理のポイント
退職する労働者の方から請求があった場合には、使用者は一定の事項を記載した退職証明書を遅滞なく交付しなければなりません。
…労働・社会保険ニュース
勤務先の労働保険加入状況をインターネットで確認できるようになりました。
…人事労務管理のポイント
国民年金保険料は、退職(失業)による特例免除制度があります。
…労働・社会保険ニュース
事業主が雇用保険の被保険者資格取得の届出をしなかったことにより雇用保険に未加入のままであった従業員の方については、一定の要件を満たすことにより2年を超えて過去にさかのぼり被保険者期間として認められます。

■法律改正や保険料率等の改定、その他人事・労務に関する情報を更新していきます。


各法律改正点

社会保険労務士 山田泰則

社会保険労務士 山田泰則 企業と働く方の幸せのために頑張ります。さいたま市、戸田市、川口市、蕨市を中心に活動しております。
経営者の方のみならず、従業員の方や退職された方にとっての身近な相談者であり続けたいと考えています。
どうぞお気軽にお声を掛けてください。


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