人事労務管理のポイント…所定労働時間の一部分のみ労働した場合の休業補償


 業務災害に遭い被災労働者が休業した場合には労災保険から休業補償が行われますが、その災害発生当日を含む
最初の3日間については、労災保険からの給付がないため事業主が休業補償を支払う義務を負います。
※上記「事業主の休業補償の支払義務」は、労働者の方が業務災害に遭った場合に生ずるもので、
 通勤災害の場合には事業主に休業補償を支払う義務はありません。

 休業補償額ですが、労働災害(労災)に関する補償や給付については「給付基礎日額」という額が用いられます。
給付基礎日額とは、原則として災害が発生した日以前3ヵ月間に被災労働者に支払われた賃金の総額をその期間の
総日数(暦の日数)で割った額です。総日数を用いるのであり、総労働日数ではありませんのでご注意ください。
 なお、給付基礎日額には最低保障額が決められおり、算定した給付基礎日額がその額に満たないときは、
最低保障額が給付基礎日額として適用されます。

 全く労働することが出来ない日、つまり「全部労働不能の日」については、一日につき給付基礎日額の60%が
支給されます。
 一方、所定労働時間の途中で業務災害に遭いそれ以降の時間は働くことが困難になった場合、また、一日を通して
働くことは難しいけれども医師の判断などによりその日の数時間だけならば働くことができるなど、所定労働時間の
一部のみ労働するケース
もあり得ます。
そのような場合には以下のように休業補償額を算出します。

 ■具体例として、ある従業員の所定労働時間が8時間、時給1,000円、給付基礎日額≒平均賃金8,000円、
  6時間働いた後に業務災害に遭い、残りの2時間は労働不能だったとして考えてみます。

【一部分労働した場合の休業補償の算出方法】
 給付基礎日額8,000円−実際労働6時間分の賃金6,000円=2,000円
 この2,000円に対して100分の60の休業補償を支払いますから、休業補償額は、2,000円×60%=1,200円となります。
 結果としてこの日については、実際労働時間賃金分6,000円と休業補償分1,200円の合計7,200円の支払が
 必要ということになります。

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離職票記載内容の補正について

 離職票への記入欄に「離職理由欄」があります。事業主記入欄に加え離職者記入欄もあるため、退職理由を
めぐって労使間でのトラブルとなることが多く見受けられます。
…記載内容が事実と異なるのであれば「雇用保険被保険者離職票記載内容補正願」を提出してください。

東日本大震災に関連する休業手当・労災などへの対応

 大きな被害により、やむを得ない休業措置を取る企業も少なくありません。厚生労働省より発表されたQ&Aから、
休業手当、労災保険などに関する労働基準法等の対応をまとめました。
…数多くの相談事例が労働局からも掲載されておりますので、参考になさってください。

定年退職後に短時間労働者として勤務する際の健康保険や厚生年金

 非常勤勤務や契約社員など短時間労働者の方に社会保険が適用されるかどうかは、1日または1週間の勤務時間や
1ヶ月の勤務日数によって決定されます。
…病気・出産の手当金、将来の年金受給のために社会保険手続は確実に行いたいものです。

退職証明書の証明事項

 労働者の退職、解雇の際のトラブル防止および再就職活動時における使用、雇用証明を目的とするため、退職する
労働者の方から請求があった場合には、使用者は一定の事項を記載した退職証明書を遅滞なく交付しなければなりません。
…請求されていない事項は記入しません。

失業した場合の国民年金保険料の特例免除

 申請する年度または前年度において退職(失業)の事実がある場合には、
本人の前年所得を除外して審査する「失業による保険料の特例免除」の申請をすることができます。
…所得基準の要件が緩和されます。

入社に伴う手続・必要書類

 新たに従業員の方と雇用契約を結ぶ際の手続や提出書類などについて解説しております。
…従業員の安心のために、確実な提出をお願いします。

試用期間中の賃金等

 就業規則あるいは給与規程等に明記されている限り、試用期間中の従業員と本採用後の従業員の方の賃金額に
差を設けることは可能です。
…こちらをご覧ください。

職場の労使慣行にご注意ください。

 労働契約書や就業規則等には明確な規定がないものの、一定の事実、取扱いが相当期間に渡り継続して行われ、
これらが労使双方で当然の職場ルールであると認識されている場合には、立派な職場の規則と判断される場合があります。
…トラブルも多発しています。

所定労働時間の一部分のみ労働した場合の休業補償

 業務災害に遭い被災労働者が休業した場合には労災保険から休業補償が行われますが、その災害発生当日を含む
最初の3日間については、労災保険からの給付はなく事業主に休業補償を支払う義務があります。
…補償額の計算方法に注意してください。

退職後の健康保険について

 退職後の再就職先が社会保険の適用事業所であるために健康保険に加入される方を除いて、退職後の
健康保険加入に関しては、
@親族等が加入している健康保険の被扶養者となる
A国民健康保険に加入する
B任意継続被保険者となる
からの選択が考えられます。
…退職される方にぜひご案内をお願いします。


労務管理に関するご質問をお受けいたします。(ご契約前の相談もお気軽にどうぞ。)

新着情報&更新情報

平成26年3月23日更新しました…年金法改正点
国民年金の任意加入中の保険料未納期間が合算対象期間に算入されることになります。
平成26年3月14日更新しました…給与計算サポート
今まで適用されていた育児休業期間中にくわえ、産前産後休業期間中も社会保険料が免除されます。
平成26年3月8日更新しました…労働・社会保険ニュース
新しい給料を即時に標準報酬月額に反映させる同日得喪が、60歳以上の継続再雇用者に拡大適用されています。
平成25年4月1日…労働・社会保険ニュース
会社判断が廃止され希望者全員を継続雇用制度の対象とすることが求められています。
平成25年2月28日…健康保険法・国民健康保険等改正点
外来療養、指定訪問看護での医療費についても支払い額が一定の限度額までとなるしくみが始まっています。
平成23年10月25日…人事労務管理のポイント
離職票記載内容が事実と異なる場合には補正願の提出が必要です。
平成23年10月24日…労働者災害補償保険法改正点
石綿による遺族特別給付金の請求期限が延長されました。
平成23年7月2日…労働・社会保険ニュース
一定の要件を満たせば、パートタイマーや派遣社員など有期契約労働者の方も育児休業を取得できます。
…社会保険手続
標準報酬月額の定時決定等において、保険者算定が適用される場面が追加されています。
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事業主と同居の親族・家族従業者の方の雇用保険、労災保険への加入について、その基準をまとめました。
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東日本大震災に対処するため特別に施行された、年金に関連する主な法律をまとめました。
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非常勤や契約社員、嘱託社員など短時間労働者の方の社会保険適用の基準をご説明いたします。
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国民年金保険料は、退職(失業)による特例免除制度があります。
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事業主が雇用保険の被保険者資格取得の届出をしなかったことにより雇用保険に未加入のままであった従業員の方については、一定の要件を満たすことにより2年を超えて過去にさかのぼり被保険者期間として認められます。

■法律改正や保険料率等の改定、その他人事・労務に関する情報を更新していきます。


各法律改正点

社会保険労務士 山田泰則

社会保険労務士 山田泰則 企業と働く方の幸せのために頑張ります。さいたま市、戸田市、川口市、蕨市を中心に活動しております。
経営者の方のみならず、従業員の方や退職された方にとっての身近な相談者であり続けたいと考えています。
どうぞお気軽にお声を掛けてください。


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