労働・社会保険ニュース…希望者全員を継続雇用の対象とする制度導入が必要となります。

 継続雇用制度の対象となる高年齢者につき事業主が定める基準を撤廃
高齢者の就労促進のために、希望者全員を対象とする制度の導入が求められています。

 急速な高齢化の進行に対応し、少なくとも年金受給開始年齢までは高年齢者の意欲と能力に応じて
働き続けられる環境の整備を目的とする「高年齢者雇用安定法」。
 この法律の下で現在、高年齢者雇用確保措置を講じるよう事業主の方に求められています。

 厚生労働省が約14万3,000企業から回答を得た、平成25年6月1日時点の雇用確保措置実施状況によると、
(1) 定年年齢を引き上げた  16.0%(約21,000社)
(2) 定年制度を廃止した  2.8%(約3,700社)
(3) 継続雇用制度を導入した  81.2%(約107,000社)
との集計結果となっています。

 上記集計結果が示すように、高年齢者確保措置の中で継続雇用制度を導入した企業が圧倒的に多いのが
実情です。
 継続雇用制度の対象とする高年齢者をどう選別するかの基準については、従前まで使用者側および労働者側との
協議で定めた労使協定により決定することが許されていました。
つまり、一定の基準に該当しない労働者については、定年後の継続雇用の対象とならなかった場合もあったのです。

 しかし平成25年4月1日に高年齢雇用安定法が改正され、継続雇用制度の対象となる高年齢者について労使協定に
基づいた基準による労働者選別の仕組みが廃止されることになりました。
これにより、継続雇用制度を導入する場合には希望高年齢者全員を制度の対象とすることが企業に
義務付けられたのです。


 ただし、今改正の趣旨の一つに「老齢年金の支給開始年齢が60歳から徐々に引き上げられることに伴い、
無収入・無年金という経済的不安定事情を取り除くこと」が挙げられます。
 つまり国としては、高年齢者の方が労働収入も年金収入もない状況を回避することをまず企業に
求めているのです。

 したがって、改正高年齢者雇用安定法が施行された平成25年3月31日までに労使協定により継続雇用制度の
対象者を限定する基準を定めておいた企業については、特別支給の老齢厚生年金が支給開始となった労働者の方を
対象に、その労使協定を基準として継続雇用の対象とするか選別をすることが経過措置として可能とされています。



 ■今改正による継続雇用制度についての留意事項として、以下の点が挙げられます。
(1) 就業規則に定める解雇・退職事由(年齢によるものを除く。以下同じ。)に該当する場合には、継続雇用制度の
  対象としないことができます。
(2) 就業規則に定める解雇・退職事由と同一の事由を継続雇用しないことができる事由として、解雇・退職の
  規程とは別に就業規則に定めることもできます。
(3) 希望者全員が継続雇用の対象となることから、就業規則にその旨を明記することが必要です。
  記載例)「本人が希望し、解雇事由または退職事由に該当しない者については、65歳まで継続雇用する。」
  また、労使協定による基準で継続雇用対象者を選別できる旨の記載を就業規則から削除することも必要です。
(4) 高年齢者雇用確保措置を講じない場合にはハローワーク等による個別指導が実施され、改善されない場合には
  勧告が実施されます。
  勧告を受けてもなお改善されないときは、勧告に従わなかったこと等が企業名と合わせて公表されます。
(5) 今回の高年齢者雇用安定法改正は、継続雇用における対象者の範囲を事業主に求めたものであり、
  継続雇用時の労働条件を規制しているものではありません。
  労働条件については、事業主の合理的な裁量の範囲内で設定が可能です。

 改正高年齢者雇用安定法についてのQ&Aが厚生労働省ホームページに 掲載されていますので
ぜひ参考になさってください。

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■社会保険資格の同日得喪(定年になった日等に退職、資格を喪失し、その日に嘱託職員等として
 再雇用され資格を新規取得する方法)が、平成25年4月1日より「60歳以上の者で、退職後継続して
 再雇用される者」に対象が拡大されます。

 同日付で社会保険の喪失、新規加入の手続を行うことにより新たな標準報酬月額が即座に反映されることになり
被保険者の方にとって非常に有利になります。…平成25年3月8日更新
…社会保険料額や在職老齢年金による年金停止額にも影響が大きい改正です。

■継続雇用制度の対象となる高年齢者につき事業主が定める基準を撤廃
 高齢者の方の就労促進のために、希望者全員を対象とする制度の導入が求められています。

 平成25年4月1日に高年齢雇用安定法が改正され、継続雇用制度の対象となる高年齢者について労使協定に
基づいた基準による労働者選別の仕組みが廃止されることになりました。
…義務違反の企業に対する名称公表の規定も導入されます。 

■有期契約労働者の方の育児休業取得要件とは?

 育児休業の申し出までの直前1年間引き続いて同じ事業主に雇用されていることなど一定の要件を満たせば、
有期契約労働者の方も育児休業を取得できます。
 パートタイマー、契約社員、派遣社員等その他名称を問わず、これらの要件を満たせば可能です。
…その他詳細な取得要件、休業期間等についてはこちらをご覧ください。 

■同居の親族・家族従業者の雇用保険、労災保険への加入について

 事業主と同居している親族等の方については、原則として雇用保険の被保険者にはなりませんし、労災保険の
対象にもなりません。
 ただし労働関係が成立しており、雇用の実態が確認できる場合には、これら労働保険の適用対象者となり得ます。
…具体的な判断基準をご覧ください。 

■年金支給の開始年齢引き上げが検討されます。

 平成24年度の公的年金の支給総額(年金総額)が、53兆円を突破しました。
将来の年金支給額の減額や支給年齢のさらなる引き上げも現実味を帯びてきました。
…年金問題と雇用問題を併せた議論が必要となっています。

■平成22年12月より、事業主の方々が労働保険の成立手続を行っているかどうかを、労働者や
 求職者の方が厚生労働省のホームページで確認することが出来るようになりました。

 大部分の会社では雇用保険や労災保険など労働保険の強制適用となっています。お勤めの会社や
求職中の会社が労働保険に加入しているかどうかを調べることができるようになりました。
…厚生労働省ホームページ等もこちらでご確認ください。

■事業主が雇用保険の被保険者資格取得の届出をしなかったことにより雇用保険に未加入のままで
 あった従業員の方については、一定の要件を満たすことにより2年を超えて過去にさかのぼり
 被保険者期間として認められます。

 会社に在籍していた確認が取れれば、2年以上さかのぼった雇用保険への加入が可能です。
…対象労働者、留意点などはこちらをご覧ください。


新着情報&更新情報

平成26年3月23日更新しました…年金法改正点
国民年金の任意加入中の保険料未納期間が合算対象期間に算入されることになります。
平成26年3月14日更新しました…給与計算サポート
今まで適用されていた育児休業期間中にくわえ、産前産後休業期間中も社会保険料が免除されます。
平成26年3月8日更新しました…労働・社会保険ニュース
新しい給料を即時に標準報酬月額に反映させる同日得喪が、60歳以上の継続再雇用者に拡大適用されています。
平成25年4月1日…労働・社会保険ニュース
会社判断が廃止され希望者全員を継続雇用制度の対象とすることが求められています。
平成25年2月28日…健康保険法・国民健康保険等改正点
外来療養、指定訪問看護での医療費についても支払い額が一定の限度額までとなるしくみが始まっています。
平成23年10月25日…人事労務管理のポイント
離職票記載内容が事実と異なる場合には補正願の提出が必要です。
平成23年10月24日…労働者災害補償保険法改正点
石綿による遺族特別給付金の請求期限が延長されました。
平成23年7月2日…労働・社会保険ニュース
一定の要件を満たせば、パートタイマーや派遣社員など有期契約労働者の方も育児休業を取得できます。
…社会保険手続
標準報酬月額の定時決定等において、保険者算定が適用される場面が追加されています。
…労働・社会保険ニュース
事業主と同居の親族・家族従業者の方の雇用保険、労災保険への加入について、その基準をまとめました。
…人事労務管理のポイント
東日本大震災にかかる休業手当・労災保険などへの対応を、厚生労働省発表のQ&Aからまとめました。
…年金法改正点
東日本大震災に対処するため特別に施行された、年金に関連する主な法律をまとめました。
…年金法改正点
障害年金における子の加算額および配偶者に係る加給年金額の受給要件が緩和されました。
…労働・社会保険ニュース
年金支給の開始年齢引き上げが検討されます。
…人事労務管理のポイント
非常勤や契約社員、嘱託社員など短時間労働者の方の社会保険適用の基準をご説明いたします。
…人事労務管理のポイント
退職する労働者の方から請求があった場合には、使用者は一定の事項を記載した退職証明書を遅滞なく交付しなければなりません。
…労働・社会保険ニュース
勤務先の労働保険加入状況をインターネットで確認できるようになりました。
…人事労務管理のポイント
国民年金保険料は、退職(失業)による特例免除制度があります。
…労働・社会保険ニュース
事業主が雇用保険の被保険者資格取得の届出をしなかったことにより雇用保険に未加入のままであった従業員の方については、一定の要件を満たすことにより2年を超えて過去にさかのぼり被保険者期間として認められます。

■法律改正や保険料率等の改定、その他人事・労務に関する情報を更新していきます。


各法律改正点

社会保険労務士 山田泰則

社会保険労務士 山田泰則 企業と働く方の幸せのために頑張ります。さいたま市、戸田市、川口市、蕨市を中心に活動しております。
経営者の方のみならず、従業員の方や退職された方にとっての身近な相談者であり続けたいと考えています。
どうぞお気軽にお声を掛けてください。


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